イメージの力
フジテレビドラマ『結婚できない男』が先日最終回を迎えた。阿部寛が演じる結婚できない男、桑野信介が妙におかしく、阿部ちゃんウォッチャーとしては、その真骨頂を見せてもらった感じだ。ま、『メンズノンノ』の阿部ちゃんを知る者としては、隔世の感とともに、今の売れっ子ぶりを大変喜ばしく思っているのだが。
さて、その最終回での桑野の行動が面白かった。恋人になりそうな早坂夏美(夏川結衣)に告白するのだが、その直後、感激する早坂に「どうせ結婚できない」というのだ。混乱する早坂に告げた理由が「結婚する家がイメージできないから」。建築家桑野にとっては、家こそが結婚であり、それがイメージできないという。
最終的にはどうやらイメージできたようなのだが、桑野の「イメージできない」という言葉は、すごくリアルで深い。周囲のこれまでの人生を見ても、イメージできるかどうかで進む道が変わっているからだ。
例えば「将来は商社マンの妻になって、海外で暮らしたい」などと冗談でもいっていた人は、自身も立派に仕事も持ちつつ、海外にいることの多い夫を持っていたりする。自分自身振り返っても、まあ、まったく希望通りではないが、イメージした人生の30%くらいにはなっているように思う。それなら、もっと違うことをイメージすればよかったと思うのだが(笑)、それができなかったのだから仕方がない。
一時話題になった「希望格差」という発想も、このあたりにあるのだと思う。私も、せいぜい、これからよいイメージを抱いて、生産的な人生を送りたいなと思うのであった。
そういう意味では同じ「あべ」でも安部晋三は早くから首相をイメージしていたということなんだろうか。イメージしてもその通りになるとは限らないし時の運とかもあるのだろうが。しかし、安部ねえ…。本人はともかく、こっちはイメージが全くわかないが、それはお構いなしに現実は進んでしまうものである。