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September 13, 2008

ペイリンインタビュー詳報

前のエントリでもちらりと触れたんだけど、共和党の輝ける副大統領候補、サラ・ペイリンが、とうとうABCニュースのチャールズ・ギブスン(日本語表記としてはギブソンなんだけど、耳にはギブスンに聞こえます)のインタビューに答えた。

で、最初は「資格があると思う? 目を見て言えますか」なんて、超簡単な質問だったので、私はかなりずっこけたわけだが、そこから会社に行っちゃったし、英語の放送をネットで見ても言っていることはなんとなくわかるけどニュアンスとか事実関係はちっともわかんないし、あとはニュース記事でしか見てなかったので、本当のところはどうだったんだろうか〜と思っていたところでして。

というわけで、英語のわかる事情通のみなさんのレポがアップされてきたので、それをご紹介。

まずは、JMMの冷泉彰彦さんのUSAレポートより引用。ちと長いです。

911七周年を迎えて〜アラスカとNYの光景
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/title3_1.html
(まだ掲載されてないですが)

ABCと言えば、ブッシュ大統領に近いとされるディズニー社の子会社どころか社内の一部門、またギブソンというのは、今でこそ夕方のニュースのメインを張っていますが、つい最近まで主婦層をターゲットとした朝のニュースで女性ファンの多いソフトタッチのキャラクターということで、陣営には油断があったのかもしれません。ギブソンという人も百戦錬磨のTVジャーナリストの一人です。病死したピーター・ジェニングス、イラクで瀕死の重傷を負ったボブ・ウッドルフなどの偉大な前任者の後を継ぐ者として、今回の取材には野心をもって臨んだのは間違いないでしょう。

 インタビューはいきなり「ペイリン知事、あなたは副大統領だけでなく、場合によっては合衆国大統領に就任することもあるわけで、その準備はできていますか?」という質問をぶつけました。万が一の「昇格」に準備はできているのか、という意味ですが、ペイリンは躊躇なく「イエス」と答えた上で「マケイン候補と私は1月20日に就任式に臨む準備は整っています」と質問をすり替えて、マケイン候補に配慮する余裕も見せていました。余裕というよりも予習の成果というところでしょうか。

 ですが、ギブソンはそこからどんどん軍事外交政策の問題に突っ込んでいったのです。「アブハジアと南オセチアの位置づけはどうあるべきですか?」「パキスタンの同意なくパキスタン領内で米軍を展開する意志はありますか?」といった現在進行形の、しかも大統領選で争点となるべき重要な課題を聞いていったのですが、ペイリンの答えはトンチンカンなものでした。少なくとも、「アブハジアと南オセチアは法的にはグルジア領だが、親ロシア勢力による実効支配は今回の停戦でも全世界が認めている」とか「パキスタンは政変の真っ最中であって、米国とパキスタンの共同戦線は転機に来ている」といった問題の核心は全く理解していないようでした。

 それどころか、ギブソンが「グルジアのNATO入りというのは、ロシアがグルジアに侵攻した場合はNATOとロシアの全面戦争になることを意味しますが、それでもNATO入りを支持しますか?」という問いには間髪を入れず「イエス」と言ってしまい、その後で「ロシアはアラスカの隣です。アラスカから見えるんですよ」という意味不明のコメントをつけていました。弁明不可能な範囲ではないのかもしれませんが、やり取りの流れからすると「抑止力としてのNATO入り」というのではなく、本当に戦争を覚悟しているような口ぶりでした。

 話題になったのは「ブッシュ・ドクトリンを支持しますか?」という質問です。ブッシュ・ドクトリンといえば、先制攻撃を正当化した重大な宣言として日本でも有名ですが、ペイリンはこの「ブッシュ・ドクトリン」を全く知らなかったのです。その場を取り繕おうと、トンチンカンな答えを続ける様子は各局のニュースが何度も放映するに至りました。例えば、翌朝のFOX5(ニューヨーク)では、キャスターのジュディ・アップルゲートが「理事長の娘が大学に入れてもらおうと思って、怖い学長先生の面接を受けているみたいですね」(実にうまい比喩ですが)とペイリンに同情的だったものの、「ブッシュ・ドクトリンを知らなかった」という点については何度も首をかしげていました。

 ギブソンは攻撃の手を緩めず「ところで、外国にいらっしゃったことはありますか?」と突っ込みました。「ええ、州兵の激励にクゥエートに、それから傷病兵の見舞いにドイツへ、どちらも素晴らしい経験でした」「分かりました。それ以外には?」「いいえ、ですが歴代の副大統領には国外に出たことのない人も大勢いるんですよ……」どうやらペイリン旋風も風向きが変わっていくことになりそうです。この調子では、ジョー・バイデンとの一対一のTV討論では相当に苦しいことになるでしょう。

ブッシュドクトリンとはこれ。
Wiki ブッシュドクトリン
http://ja.wikipedia.org/wiki/ブッシュ・ドクトリン

ワシントンポストでも取り上げています。さすが、共和党寄りのワシントンポスト。ブッシュドクトリンは一つだけじゃないし、と言ってますが。でも多くの人にとってはブッシュドクトリンといえばコレなんでしょ?

WAPO Many Versions of 'Bush Doctrine'
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/09/12/AR2008091203324.html

一般人がブッシュ・ドクトリンってなんだっけ?って言うのはかまわないと思うし、私も、それなんだっけ?って思った訳だけど、なんと世界一の国の大統領になるかもしれない人が、先代の大統領がおっぱじめた戦争の基本となる思想を知らないとはまずいだろ。しかも同じ党なのに(苦笑)。リーバーマン先生の授業もそこまで間に合わなかったようで。

冷泉さんによると、9月11日はペイリンの息子がイラクに出兵したらしいんだけど、その息子が陸軍に入隊した理由もいろいろあるんだそうです。あんまり引用するのもなんなので、それはメルマガでどうぞ。

次は園田義明さん

園田義明めも
追い込まれるサラ・ペイリン
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/09/13/3761448

ギブソンはマケインに不測の事態が生じた場合でも、大統領代行を務める用意があるかを尋ねると、ペイリンは「わたしにはその用意がある」と答えます。

ギブソンから「いささか自信過剰」と突っ込まれても、副大統領候補への打診を受けた場面を振り返りながら、「躊躇はなかった」と断言。

外交分野では、ロシアのグルジア侵略を「容認し難い」と非難したほか、ウクライナのNATO加盟にも明確な支持を示すなど、特に失言もなく無難に持論を展開していきます。

ところがギブソンから敵対国やテロ組織への先制攻撃も辞さないとする「ブッシュ・ドクトリン」に「同意するか」との問いに対して、ペイリンは答えに詰まってしまう。

ペイリンはブッシュ・ドクトリンの意味を理解できなかったようです。このときの様子を画像に残しておきました。

ギブソンの問い方にも問題があったとは思いますが、残念ながらマケイン応援団の私から見ても、準備不足との印象が残りました。
(中略)
政治的事象などを扱うオンライン先物取引市場「イントレード」。
この市場で気になるのは11月4日の本選挙の前にペイリンが指名辞退する確率。一時18%にまで上昇していたのですが、最近は5%前後で推移。しかし、この番組の影響からか、再び6~7%へ上昇しつつあります。

そうか、指名辞退という手があるんですね。もう一つ、面白いのが園田さんのこのエントリで引用されていたAFPの記事。

致命的なペイリンのパスポート問題
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/09/07/3749177

引用していたのはこれ。
AFP SNSに「米副大統領候補」乱立? ペイリン氏に対抗して「外交経験」を主張
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2514143/3291856

フェースブック内には、「I have more foreign policy experience than Sarah Palin(わたしにはサラ・ペイリンより外交経験がある)」と題されたグループが立ち上げられた。

おお、ペイリンがこれまでに訪ねた国は3カ国。これなら私も、ペイリンより外交経験あるなあ(苦笑)。ロシアもトランジットで寄ったことあるし。

ところで、ペイリンの夫も職権乱用問題で召還されるらしいです。いろいろ大変でつね。

ハフィントンポストって多分相当リベラルな投稿サイトなんですが、そこにこんな記事も。あのミスティーンサウスカロライナのおばかさんと同等に扱われてます。

Huffington Post
Sarah Palin: Foreign Policy Genius
http://www.huffingtonpost.com/bart-motes/sarah-palin-foreign-polic_b_125835.html

でも、今のところ、共和党が優勢らしく、エレクトラルボートっていうサイトでは、現段階ではマケイン勝利なんだそうで。ま、基本的には各州の世論調査がベースなんで微妙なんだけど、ドラマ「ホワイトハウス」によると、選挙などの戦略はこうしたものをベースに練られるはず。POLITICOでは一応まだオバマ優勢になってますけどね。

エレクトラルボート
http://www.electoral-vote.com/

POLITICO
POLITICO's 2008 Swing State Map
http://www.politico.com/convention/swingstate.html

そして、かんべえさんの不規則発言は意味深である。

かんべえの不規則発言
http://tameike.net/comments.htm#new

○ペイリンは9月11日に陸軍兵士である19歳の長男をイラクに送り出した。これで兵士を持つ多くの母親の支持を取り付けただろう。そうかと思うと、同じ日にABCで初のインタビューを受けた。インタビュアーの容赦ない質問に対し、けなげに答える彼女。でも、「ブッシュ・ドクトリン」が何たるか知らない、という失態を見せて、ああやっぱりという印象を残した。もっとも、これが命取りになるかといえばそれは分からない。アメリカ人の反知性主義を甘く見てはなりませぬ。アメリカで人気を得る手っ取り早い方法は、ヨーロッパの知識人をガッカリさせることである。

反知性主義! かんべんしてくれ〜。 


追記:goo加藤さんの記事をリンク 
コラム「大手町から見る米大統領選」(56回目)
ペイリン候補、はじめて語る 判断は聞く人次第 
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20080914-01.html

やっぱ72歳の大統領候補にこの副大統領候補はないんじゃないすかねえ。

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Comments

JIN 様
こんにちは。先日のCNNのプーチン首相独占インタビューの全文がCNNサイトに載ったというエントリーがあったので、ご報告です。「暗いニュースリンク」
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2008/09/cnn-73e1.html
JIN様もネットゲリラまで広くご覧になっているんですね。
私は、ちょっと関心が国内に向いています。
あ、でも、ネーダーさんをロンポールさんが支持するかどうかという、これまたCNNのインタビューが出ていました。
http://mamechoja.blog22.fc2.com/blog-entry-196.html
前回、大統領選ではネーダーさんの出馬は、結果的にブッシュさんを利したと聞いたこともありましたが、今回も第3勢力を作ろうとすれば、オバマさんに不利、マケインさんに有利になるだけのような気もするのですが。

Posted by: 散策 | September 15, 2008 at 05:04 AM

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