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October 03, 2008

上院は通過したけれど

金融安定化法案は上院を通過したらしい。これで、下院議員が考えを変えてくれるといいけれど、どうなんだろうか?

ロイター 情報BOX:米金融安定化法案、今後予想されるシナリオ
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34061220081002

これによると「◎米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険の保証上限引き上げと税制優遇措置が盛り込まれたことにより、法案は共和党下院議員にとってより魅力的な内容となった」らしいんだが、民主党からも造反が出る可能性があり、なかなか難しいらしい。ブッシュ大統領も電話で説得工作をしているようだが、どこまで効果的なんだろうか。下院でさらに条件が付いて法案に変更があると、もう一度、上院で採決が必要なんだそうだ。

そして、まだ不安なので追加利下げも。

ロイター FRB、景気悪化と金融混乱拡大で追加利下げを検討へ=WSJ
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnTK825227420081002

金融安定化法案や利下げの施策の効果としては、リセッション(景気後退)が止まるわけじゃないが、とりあえずお金の流れがストップするのを防ぐことができるかもしれないってところだろう。7000億ドルで不良債権をすべて買い取れるわけでもないから。今、アメリカの銀行ではドルを調達できなくなっているらしいんだが、それが幾分、緩和されるかもしれない。

日経 マネー収縮、世界に拡大 銀行間で資金調達難
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20081001D2M0103N01.html

今回の一連の施策を表す言葉として、一番わかりやすいのは「金は天下の回りもの」じゃないだろうか。とりあえず金回りをストップさせないようになんとかしようという話だ。

そんなわけで、アメリカにやいのやいの言われていた日本が、今、金を回すために頑張っているらしいのだが、フィナンシャルタイムズが皮肉っぽくそれをまとめている。

goo のろのろ「日本式」金融がまた流行するのか——フィナンシャル・タイムズ
http://news.goo.ne.jp/article/ft/business/ft-20080930-01.html

日本はバブル崩壊後の不良債権処理に追われ、世界的な投資ブームに完全に乗り遅れていたわけだが、伝統的な金融業を続けることで、世界的投資バブル崩壊の今、脚光(?)を浴びているわけだ。日本もバブルのころはあんな感じではあったが、さすがにサブプライムみたいなものを世界中にまき散らしてはいなかったので、国内だけですんだし、国民もある程度はまともに返したりしているので、なんとか健全性は確保できたわけだ。

しかしどうして欧米というか英米はこんなふうに禿鷹なのか、という疑問がわいてくる。そんなにお金を転がしてどうする? 額に汗して働いたほうがいいのでは?と思うのだが、JMMの春具さんのメルマガを読んで、はたと膝を打った。

JMM 『オランダ・ハーグより』 
「バビロンに帰る」
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report1_1362.html

 バブルに例えられるアメリカ経済の衰退を、「これはプロテスタントとカトリックの違いなのさ」と論じたオランダ論壇の説明があって、わたくしはちょっとおもろしく思いましたが、そこから本日のお話を始めましょう。

 そもそも資本主義の精神は、キリスト教におけるプロテスタントとピューリタニズムの精神にバックアップされているのだという社会学者マックス・ウェーバーの議論がありますが、新約聖書のマタイ伝だったかな、イエスが行った説教の中にタラントの喩えという話がありますな。タラントは当時の貨幣単位であるが、あるとき主人が僕(しもべ)たちにお金を預けて旅に出るのです。

 5タラントを預かった僕はさっそくそれを商売・投資にまわし、5タラントの収益を上げる。だが、1タラントを預かった僕は、危険を避けてオカネを壷の中にしまったままにしておく。しばらくして主人が旅から戻るのですが、最初の僕は「ご覧下さい。わたしはお預かりしたお金を投資して二倍にしました」と報告し、主人によくやったと褒められる。そして二番目の僕も自慢げに「ご覧下さい、ご主人様。わたしはあなたのオカネを無事そのままに管理してきました」と告げるのです。

 だが、主人は2番目の僕に向かって「怠惰な僕よ。そんなことならわたしはお金を銀行に預けておくべきだった。帰ってきてわたしは利子とともに元金が受け取れただろうに」と言い、彼を追放してしまうのです。

 つまり、資本主義とはオカネを寝かせていてはダメで、オカネは働かせ続けなければいけない、それがプロテスタントの精神だと言うのです。

(中略)

 だが、そこでさらに思うのですが、マタイ伝で5タラントを預かった僕が、もし投資に失敗したらどうなっていただろう。運用に失敗し、大穴をあけたなら主人にこっぴどく怒られたのではないか。その怒りは1タラントを壷にしまっていた僕など比較にならないほどおおきな怒りだったのではないか。

 だが、それについて、聖書はなんの説明もしておりません。

なんと、「お金を働かせなければならない」という金持ち父さん思想は、聖書に書かれていたのか! だから、あんなに英米は金融資本主義なんだ。しかも失敗については言及していないとは(苦笑)。

そして春さんは続けてこう書いている。

 1909年にニューヨークでは経済恐慌がおこりましたが、それはバブルがはじけたかのように、株価が前年度を半分も割り込み、アメリカ金融界は騒然となってはじまった。そしてニッカーボッカー信託銀行というニューヨークで三番目に大きかった銀行が破産寸前に至る。

 そのとき、銀行家J・P・モルガンは旧知の資産家仲間を集め、資金の投入を要請するのです。ロックフェラーやカーネギーらが個人資産から当時の価格で億単位の債券をモルガン氏に預けるのであります。

 この話は、ウォールストリーターたちが自己資産で危機を回避し、政府の介入をふせいで資本主義の精神をまもったエピソードとしてJ・P・モルガン、ロックフェラー、ネルソン・アルドリッチ、デール・カーネギーたちの名をたからしめたのであります。

 もちろん、今回のパニックは当時の規模と同様には論じられない。話はもっと複雑だし、インパクトも多岐にわたっているようです。それらを合計して7000億ドルという天文学的な(とわたくしには思える。いまのアメリカのどこにそんなオカネがあるのだろう)数字が出ているのだろうけれど。それでも、だれかが個人資産を投じて経済を支えようとしたという話は聞かない。ただひとり、ウォーレン・バフェット氏が50億ドルを”カンパ”したという話が聞こえてきただけであります。

 アメリカはここ10年ほどの好景気でお金持ちが急増し、ミリオネアとよばれるお金持ちの数は800万人を超えるという。そしてさらにその上をいくビリオネアは、「フォーブス」という経済誌が数年前に調べたところでは、400人を越しているというのです。

大恐慌のとき(大恐慌は1929年)株価が半値になったってことは今と同じなので、やはり今は大恐慌金融危機なんだなと思う。

追記:(注)これはもしかしたら1907年のことかも?
Wiki 1907年
http://ja.wikipedia.org/wiki/1907%E5%B9%B4

10月24日 - ジョン・ピアポント・モーガン、エドワード・ヘンリー・ハリマン、ジェームズ・スティルマン、ヘンリー・クレー・フリックおよび他のウォールストリートの財政家が、2500万ドルのプールを、1907年の銀行パニックを主導していたニューヨーク証券取引所の急落するシェアに投資するべく作成し、アメリカの金融危機が防がれた。

それで現在、孤軍奮闘中なのが投資家バフェットなわけだ。米国最大の電力会社コンステレーション・エナジー、ゴールドマンサックス、GEと次々に出資した。これはすべてアメリカブランド、つまりアメリカでナンバーワンで、これがつぶれたら目も当てられないという会社だ。あの損得勘定が上手なバフェットだから、買っといて損はないし、ボランティア的なところで名声も高まるしということで、ポンポンと金を出したんだろう。自動車はどうするか知らないけど。

日経 バフェット氏、原発業界の勢力図塗り替える可能性も
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCKC7340.html
日経 ゴールドマン、7900億円増資 バフェット氏側5300億円引き受け
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080924AT2M2400Z24092008.html
日経 バフェット氏、GEの資本増強も支援
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCKJ6652.html

でもアメリカにはほかにも大金持ちはいるし、おいおいロックフェラーとかロスチャイルドは?って思ってしまうわけだ。国境を超える投資団は何もしないのかと。それどころじゃないのかもしれないが、資産はあるだろう?

あと、思いつくのはビル・ゲイツくらい(貧相な発想だな)なんだけど、ゲイツも今回の危機に何かしたって話はないなあ。

そんなわけでノブレス・オブリージュという言葉はアメリカの金持ちにはないらしい。今こそ、名声を高めるチャンスだと思うけどねえ。でも名声なんて短期的にみたら一文の得にもなんないからだめか。

追記:とはいえ、英米だけじゃなくて、フランスやドイツも英米にのっていたらしい。

今日の覚書き
アメリカの強欲に対する非難もお開き 1
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/55a96ca9150f53f42c43faf64e4236d4

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