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November 05, 2008

おめでとう、アメリカ

バラク・オバマ上院議員が11月4日の大統領選を制することが決定的となった。カリフォルニアの開票が始まったと同時に当選確実をABCニュースが打ったわけだが、これを受けてジョン・マケイン上院議員は敗北宣言。オバマ氏も勝利宣言の演説を行った。

2007年2月のオバマの立候補宣言以来、素人ながらウォッチを続けてきた身としては、単純に、アメリカにおめでとうと言いたいと思う。バラク・オバマという素晴らしい人材を生み出したこと、黒人と分類される彼を受け入れたこと、大統領選を通じ彼を鍛え、そしてこの危機を彼に託す選択をしたこと、これらのすべてが「アメリカン・ドリーム」という言葉が本当にあることを示している。

2000年、2001年と私がアメリカを訪問したころ、まだアメリカは黒人大統領を受け入れる余地はなかったように思う。ゴアがブッシュに負け、知性よりも人の良さが勝った形となった。それはクリントン時代がアメリカにとって幸せな時代だったからなのかもしれないが、2001年9月の同時多発テロから、アメリカは転落の道を歩み始めた。その前にITバブルがはじけ、調子は悪くなってはいたが。

初の黒人大統領となるとみられていたコリン・パウエルは、ブッシュ大統領のイラク攻撃を正当化するために、国連で苦しい主張を行い、彼の経歴を傷つけることとなった。彼が今回立候補しなかったのは、妻に止められたという表向きの理由だけでなく、やはりイラク戦争がその根底にあったのではないかと思う。

しかしパウエルがいなければ、オバマ大統領は誕生していなかったかもしれないと思う。黒人でも大統領にふさわしい人もいる、という既視感を、パウエルは国民に与え続けていたはずだ。ただパウエルにはしがらみがあった。そこにしがらみのない、恐ろしく頭が良く人当たりの良いオバマが現れた。彗星のごとく。

オバマの立候補宣言の意味は、英語の不自由な私は、その内容より、集まった人々の顔から読み取ることになった。凍てつく2月のイリノイ州のスプリングフィールドに、大勢の人が期待を持って集まって来ていたのだ。そんな人がアメリカにいる。それが驚きだった。オバマの2004年の演説は有名だったし、新星の政治家とは聞いていたが、それにしてもこの人々の明るい表情はなんだろうと。これはもしかしたら21世紀のケネディなのではないか、と思った。

その時、私は確信した、といえばウソがある。この人が大統領になるだろうと確信したかったが、アメリカがこの人を受け入れられるのかについてはやはり疑いはあった。しかし、オバマを見ていて感じてしまうピュアな魂ーーもう少し穏やかな表現をすれば「良心」とか「善」なのだがーーは、どうやっても人を動かすものなんじゃないかと思った。しかもそれを容易く他人に触らせることはない。いつもにこやかであっても、そして選挙に勝つためであっても、そこは譲らないし曲げない。これがわからない人はあまりいないんじゃないかと。

予備選でいきなりアイオワで勝利を上げたとき、私の確信は少し前進した。ニューハンプシャーでの敗北も、その演説は歴史に残るほど素晴らしいものだった。「Yes We Can」の歌がブームになったところで、もうこれは動かしがたいムーブメントだと思った。その後も接戦の中、ヒラリーの猛攻撃やライト牧師の件で窮地に陥っても完ぺきに自分と選挙戦を制御していた姿に、これができるのは、ほかに誰もいないだろうと思うようになった。

これからオバマが大統領として立ち向かわねばならない課題は、とてつもなく大きく、難しいものだと思う。でも彼は言う。難題が大きければ大きいほど、自分たちは成長できるのだと。すべてがうまくいくとは思わないし、日本にとってオバマ大統領がいいという保証はないが、とりあえず、アメリカの人々に、人種問題という大きな壁を乗り越えたお祝いを申し上げたい。アメリカの経済は大変だし、戦争もしているし、社会は矛盾だらけだが、理想へ向けて改善する能力はあるということを示したのだから。

黒人指導者ジェシー・ジャクソンがぼろぼろと泣いているのがテレビに映し出された。彼だけでなく、多くの人がこの勝利に涙していた。特に黒人の人の涙が多く見られた。遠く離れた日本から、この新しい歴史を作った人々に敬意を評したいと思う。そして日本にもオバマのような素晴らしい政治家が出てきてくれることを強く願う。

Barackobama

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Comments

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Chiharuさん
えっと、多分ちょっと前のエントリに書いたものについて、ご指摘いただいたんだと思うんですが。変節についてはオバマだろうがマケインだろうがするでしょう。すべてをわかっている人はいないし、厳しい現実を前にせざるを得ないでしょう。あまりそれについてどうこうは思わないのです(思う人もいるだろうけど)。

加藤さんのそのコラムは、マケインが選挙を勝つという目的のためだけに、自分を殺してまで悪態を付くゴラムになっている、という点が残念だということでしょう。もっと自分の良さを出して勝ちを狙うべきだったと私も思うけど、でもできなかったんでしょうね。オバマも言うこと変わるじゃん!ということなら、そうね、っていう感じなんですが。オバマの政策も突っ込みどころ多いし(苦笑)

パウエルが暗殺の件で妻に出馬を止められたのは本当だとは思いますが、では止められなかったとして成功しただろうかと考えてみたわけです。今回、実際に出馬していたら…大変だったでしょうね。大量破壊兵器はなかったのですから。その釈明を求められ、しかしそれはかなり不利になったはずです。というわけで、あくまで私の単なる想像です。

だから事実関係としては暗殺の恐怖が第一だったとは思います。オバマもそれは同じかと思いますが、覚悟を決めたオバマファミリーには敬服です。

Posted by: JIN | November 06, 2008 at 02:58 AM

>加藤祐子氏の61回: 「勝つための変節か」

変節と言うよりは演技に近いと考えます。Bush 43も自分の都合の悪い話題に関して選挙前と選挙後では言っていることとやっていることが違っていることは幾らでもありましたよね。既にご覧になったかもしれませんが。二つ映像を。

Barack Obama Interview With Bill O'Reilly Sept 4, 2008 - FNC
http://jp.youtube.com/watch?v=_753sLQQ8q8

A Less Guarded Barack Obama
http://video.nytimes.com/video/2008/10/20/us/politics/1194826600863/a-less-guarded-barack-obama.html

O'reillyとでは右に、もう一つのでは左に寄ってますよね。そういうものではないでしょうか。加藤さんのコラムを批判しているわけではありません。加藤さんのコラムを全部読む時間はないのですが、読んだ者に関してはいつもとても感心しています。昨日のスピーチが翻訳されているのもありがたかったです。

> 彼が今回立候補しなかったのは、妻に止められたという表向きの理由だけでなく、やはりイラク戦争がその根底にあったのではないかと思う。

妻の話は事実でしょう。2000年の大統領選挙に出馬しなかった理由は同じです。"Alma Powell, wife of former Secretary of State Colin L. Powell, reportedly was against his seeking the presidency for fear of his being assassinated. The fear is real. And families, not just public figures, have reluctantly accepted that risk as the price of public service." (http://www.philly.com/inquirer/columnists/george_curry/19346319.html) NYTには違うことが書いてありますが(http://query.nytimes.com/gst /fullpage.html?res=9A06E5DB1439F93AA35752C1A963958260)、philadelphia inquiryの言ってることはbob woodwardの著書と一致していると思います。ただ、woodwardのどの本かは忘れました。

Posted by: Chiharu | November 06, 2008 at 01:57 AM

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