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December 09, 2008

オバマの経済政策は真っ当か?

ここのところ、オバマの経済政策の真っ当ぶりというエントリが異常にヒットしているんですがね、これ、今年2月のエントリなんですよ〜。

当時はまだ予備選中で、サブプライムで家を追い出された人たちをどうするかって話だったんだけど、ヒラリーは3ヶ月猶予とかなんとか言っていた一方で、オバマは貸し手をなんとかしろという話をしていて、まあ3ヶ月待ったって払えないものは払えんだろ、という気持ちがしていたので、割に真っ当だと思ってた。それに5月のドライブシーズンを前に、ガソリン税下げましょうっていう提案をヒラリーがしていて、それをオバマが否定していたのもなかなか良かったと思うけど。でも結局オバマもサブプライム3ヶ月猶予案とか出しているけどね(苦笑)

で、最近はその経済政策が真っ当なのかどうなのか、ちょっとわからなくなってる。

オバマがアイゼンハワー以来の大公共投資を行うと発表した。

フジサンケイ 半世紀ぶり「最大の投資」 オバマ氏、景気浮揚と雇用創出で意向
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200812080060a.nwc

President-elect Barack Obama lays out key parts of Economic Recovery Plan
http://change.gov/newsroom/entry/the_key_parts_of_the_jobs_plan/

前回、250万人の雇用創出を行うと言っていて、そのためには道路や橋を作ったり、太陽光や風力を作ったり、ハイブリット車や代替エネルギー技術を開発したりすると言っていた。この発表はR&Dの部分以外の、公共事業分、つまりオバマ版ニューディール政策ともいえるものらしい。

その内容をよく見ると、
1 省エネへ向けた古い冷暖房設備と照明器具の取り替え
2 高速道路の再建
3 学校の再建
4 ブロードバンドの普及 (特に学校、図書館、病院)

かかる費用は5000億ドル程度だとみられている。

さて、どうでしょうね? この案。 いや、新自由主義が行き過ぎて、公共投資が必要だというのは賛成するんだけど。

まあ、ざっとみて、公共施設を公費で修繕、改良しますってことだろうけど、高速道路が全く新しくできるわけじゃないし(ボストンはなんだか大工事しているらしいけど)、省エネ機器への取り替えも雇用を生み出すというより喪失を防ぐというたぐいのもの。ブロードバンドも、かつてのITバブルの時は光ファイバーが全くなくて、もうかるところ(大動脈)だけ引っ張ってたのでそこはもう終わっているはず。データセンターもバンバン建ってた。でも、あまりの急速な拡大に需要と収入がおいつかず(まだ映像配信なんてそれほどじゃなかったし)、しかもラストワンマイルは都市部しか敷設できないままとなり、あえなくITバブルは崩壊し、企業はともかく家庭へのブロバンの普及は止まったという経緯があったと思う。うる覚えだし、今現在のブロバン実態がどうかは知らないんだけど、あの広い国で光ファイバーをラストワンマイル引けますかね。公共事業だから大丈夫なのかも。

う〜ん、そんなわけで、この案については、雇用を生み出すというより喪失するのを防止し、ちょっと増やすという案にしか思えないな。しかも、これ、いっぺんにやらないと意味がないように思う、今日この頃な素人です。新鮮みがないなあと。

ただ、例えば高速道路を新しくすると同時に電気自動車用の電気スタンドを設け、かつ将来、交通を制御できるようにブロバンを敷設しておくとか(既に道路脇には光ファイバー埋まっているかもしれないけど)、省エネ機器取り替えと同時にラストワンフィート(ビル内って意味ね)を敷設するとか、学校再建と同時にもちろんインターネットも敷設して、ビル・ゲイツにPC寄付させるとか、病院にブロバンを敷設すると同時に高度医療を遠隔提供できるとか(日本では既にやっているし、今回アメリカでもやるらしいけど)、そういうことに結びつけていけば、新しい価値観を生むかもしれないと思う。それを狙わないと意味ないと思うんだけど。ただ、どうもこれらの公共事業って州政府がやることらしいので、電気スタンドなんて全米で普及させなきゃ意味がないからなあ。

20世紀は自動車の時代で、自動車がいくらでも普及したし経済成長のカギだったから、ある意味20世紀は自動車バブルだったのかもしれない。そのために高速道路を敷設し、建設会社が儲かり、石油会社が巨大化し、人々は都市に集まったのだから。世紀の変わり目にはITバブルが発生し、新しい価値観として一時的ではあったが空前のバブルとなった。小規模ながら携帯電話バブルってのもあった。どちらも自動車ほどのインパクトも持続性もないわけだけど、新しい価値観は新しい産業を生むわけで、やはりそれを狙うのが一番だと思う。だけどクリントン政権でゴアがスーパー情報ハイウェイってぶち上げてたような、そういった人々が待ちに待った新しいコンセプトはないんだよな。まあ、世の中的にもないけど。

で、次は温暖化バブルをもくろんでいる人が多いみたいなんだけど、サブプライムもあったことだし、排出権とか目に見えないものを信じる人はあまりいないんじゃないかね。実質的に温暖化が防止できるものならいざ知らずだ。その「実質的に防止する策」としてオバマがあげているのは、太陽光と風力とバイオマスと石炭からのCO2回収と省エネ。さて、原油価格も下がった今、どこまで雇用創出できますやら…。しかもコーンのバイオマスだと穀物価格上がるし、効率悪いらしいし。

しかも、こちらも問題山積。

日経 オバマ氏、ビッグ3破綻「受け入れられず」 経営陣退陣も示唆
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081208AT2M0800408122008.html

共同 日本企業見習えとオバマ氏  ビッグ3、引責辞任論も
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008120801000046.html

オバマも1月20日以降はもっとハッキリした政策が出てくるかもしれないので、そうなったらおお、さすが、と言えるようになるかもしれないけど。今、まだ大統領はブッシュなのだし、ブッシュが放置してひどくした経済にはブッシュ自身が帳尻会わせる努力をすべきなんで、とりあえず、なんとなくお茶を濁していてもいいのかもしれない。

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Comments

Chiharuさん、どうも〜。
ミルトンとトーマスの区別もついてなかったJINなのですが、どうもやはりアメリカ経済はアレだけでは救えないみたいで、オバマも300万人雇用創出へと拡大しましたね。

経済にお詳しそうなので、Chiharuさんの見方などを教えていただくとありがたいです。私の場合、実家の零細商店の視点から経済を見てしまうので、マクロ的視点が足りないと思いますし。

まあ、でも零細商店における教えってのは結構、経済を知る上で役に立ってます。子供のころスーパーで買いたがる私に、親は地元にお金が落ちないから、地元商店で買わなければいけないと言っていました。今から見ると、それは全く正しいんですよね。もちろんスーパーへの流れは止められていないんですが心得としては正しい。だってそれは国にもいえることですからね。結局、周りの人が幸せになれなければ自分だって幸せになれないってことなんだろうと、なんとなく思います。まあ、甘いと言われりゃそれまでですが。

Posted by: JIN | December 24, 2008 at 11:06 PM

経済政策についてはミルトン・フリードマンから始めて、現状を理解した後でKrugmanのインタビューを聞ことを勧めます。

資本主義と自由
http://www.amazon.co.jp/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%94%B1-%E6%97%A5%E7%B5%8CBP%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4822246418

復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲
http://cruel.org/krugman/krugback.pdf

Krugman On The Financial Crisis And Public Spending
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=95929699

Posted by: Chiharu | December 23, 2008 at 04:36 PM

なんとFOXなんですか! 手のひら返しもいいとこですね。も〜〜〜。信じられん!!

FOXの行く末を生暖かく見守りたいと思いますです。しかし、そんなに変節したら、みんなにからかわれませんかねえ…。

Posted by: JIN | December 11, 2008 at 08:09 AM

JINさん、実はこの評論家連中はFOXの常連です。

週末の土日は、いつも見ているMSNBCの番組がお休みで
「プリズン・ブレイク」というかブレイク前と言うか、変な犯罪実録モノばかり流すし、CNNはその週の再放送ばかりなので、ニュースはどうなってる?とかチェックする時には、仕方なくFox Newsに行くんですよ。(びっくりでしょ)

それが、選挙運動中は、ナチスまがいの禍々しいプロパガンダや、身の毛もよだつペイリン特集なんかをやっていたFoxが、なにか「更生中」みたいな感じで、真面目に「報道」をしてるんですよ。

で、それまでオバマはムスリムだ、危険思想だとか、ギャーギャーわめいていた Beltway Boys のおっちゃんたちがころっと変わって、この人選はさすがだ! とか、ニューディールはアメリカの誇りだ! とか、唖然とする変貌ぶりです。

最近は、こういう「更生したひとびと」を見るのが実に楽しみになってきました。(笑)
何かお体裁だけじゃなくて、本心からニコニコして張り切っちゃってるのを見ると、やはりオバマはメサイアなのかな?とか思えてきてしまいます。
面白いですよ。
ほんと、CHANGED だわ。

Posted by: 米流時評 ysbee | December 10, 2008 at 11:40 AM

ysbeeさん、おはようございます。そちらに書き込もうかと思っていたところでした〜(笑)。

hanging…ブッシュのお笑い能力はさすがですね。本当にそうならないといいですけど。

正直、ヒラリー国務長官はどうかと思うんですが、まあヒラリーの力を無駄にするのももったいないし、変な動きをされても困りますしね。

共和党びいきの論客は実はバラまいたほうがいいと思っていたんですか。驚きです。となるとFOXニュースとかどうしているんでしょう。まさかFOXの論客までオバマ支持になってたりして?

日本ではこの段階になっても、まだ財政均衡への取り組みを一時中断するのはけしからんといわれてるんです。日本のほうがヤバいかもしれません。

Posted by: JIN | December 10, 2008 at 08:03 AM

あ、今日はテーマがダブりましたね。
私もNew New Deal の記事でした。

最近の面白い傾向は、オバマのコアの支持者が組閣人事に不満で(ゲイツ長官をはじめ居残り組が気に入らないよう)、逆に共和党びいきの評論家がこぞってオバマの提案を褒めちぎっているんですよ。

以前にも書いたと思うんですが、オバマは決して保守派の恐れたようなコアのリベラルではなくて中道穏健派だと。
人事の顔ぶれをみてもまさにその通りで、右も左もないベストメンバーの選出。政策にしても、彼が遊説中に約束した方針を今ひとつひとつ政策提案で裏付けしてる訳ですよね。しかも、ほとんど毎日。

以前からの民主党の支持者からすれば、オバマはそういう真摯な政治家だから、当然の成り行きで、ヨシヨシとうなづいてる程度ですが、これが共和党びいきの評論家の場合、今まで敵視していた人物が「理想的」な改革案を次々打ち出してくるので、棚からボタモチというか、毎日がボーナス支給日というか、聞いてて呆れるほどほめちぎっていて、おかしいくらいです。

あと、今日ホワイトハウスで、任期残り少ない大統領に恒例の肖像画の除幕式があったんですが、そこで薮が言った一言が珍しく気が利いてました。
「This is the day of hanging me.」

絞首刑のhangingと絵を吊るすhangingを掛けたんですが、Bush Co.には珍しく自嘲的なブラックユーモアで、記者団にウケてました。

Posted by: 米流時評 ysbee | December 09, 2008 at 10:17 PM

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