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November 04, 2010

分裂するアメリカをつなぎ止めろ by ジョン・スチュワート

本題に入る前に、「正気を取り戻せ」集会のビデオはこちらで見られますよ〜。
Rally to Restore Sanity and/or Fear -- Videos | Comedy Central
http://www.comedycentral.com/shows/rally_to_restore_sanity_and_or_fear/index.jhtml

gooの加藤さんがジョン・スチュワートの「正気を取り戻せ集会」に行くと宣言されていたので、どうなったのかクビを長くして待っていたんだけど、本当に行かれたそうで。

アメリカが正気を回復するための集会、対立煽るメディアを批判 (ニュースな英語)
http://news.goo.ne.jp/article/newsengm/world/newsengm-20101102-01.html

非常に面白いレポートで、英語が苦手な私にとっては大変ありがたいw。イベントビデオへのリンクも加藤さんのレポートで発見しました。今、それを見ながらこれを書いているわけですが、ということで、以下、加藤さんの記事の抜粋です。

そして集会では名称通りに、コルベアがひたすら色々なものを恐れているのを(集会に人が来てないんじゃないか、出された水に毒が入ってるんじゃないか、イスラム教徒は怖い、ロボットは怖い、などなどなど)、スチュワートがひとつひとつ「そんなことはないよ」と「reasonableness (理性があること、理にかなっていること)」を語り、コルベアの恐怖を消していくという筋書きでした。

コルベア「イスラム教徒が怖い。イスラム教徒はこの国を攻撃したじゃないか」
スチュワート「違うよ。テロリストのイスラム教徒がいるだけだ。オサマ・ビンラディンはイスラム教徒だ。でも全てのイスラム教徒が怖いわけじゃない。ステキなイスラム教徒もいる。たとえばNBAスターのカリーム・アブドル・ジャバーはイスラム教徒で、そしてステキじゃないか」
(ここでカリーム本人が登場)
コルベア「全てのイスラム教徒が怖いわけじゃないっていうのは、確かに分かった。でもロボットはどうだ。ロボットは怖いじゃないか」
スチュワート「全てのロボットが怖いわけじゃない。スターウォーズのR2D2は怖くないだろ(ここでR2D2が登場)。かつてフランクリン・ルーズベルトが言ったように、恐れるべきものは恐怖しかないんだよ」

——などと。


これって、直接観ていると笑ってしまう(コメディだし)と思うけど、字で読むと、ジョンとスティーブン・コルベアの2人がこれを考えているときの姿を考えてしまって(スタッフはもっといるだろうけど)、なんだか胸に迫ります。

gooのサイトのURLから全文を読んでほしいけど、私が関心したのは、加藤さんが抜粋して紹介しているジョンの言葉。(をさらに抜粋)

「世の中にはテロリストも人種差別主義者もスターリン主義者も神権主義者もいる。でもそう呼ばれるには、それなりに努力しないと。それなりの経歴がないと。本物の人種差別主義者と茶会運動参加者を区別しないのは(中略)侮辱だ。茶会運動の人たちにも侮辱だし、人種差別主義者に対しても失礼だ。あの人たちは憎むというすごく疲れる行為のために、大変な努力を重ねてきたんだから。同じようにテロリストとイスラム教徒の区別ができないと、この国は安全になるどころか、もっと危険にさらされてしまう」
そうだよ。そうだよね。そしてアメリカという国がひとつになるべきという点について、ものすごく単純な事例で語りかける。
「たとえば高速が合流してトンネルに入っていく時、僕たちはお互いに『どうぞお先に』と譲り合ってる。それぞれの車には、税金が高すぎると思ってる先生だったり、小さい子供2人のことで頭がいっぱいな女の人だったり、オプラ・ウィンフリーが大好きな全米ライフル協会メンバーや、やっぱりオプラが好きなゲイの投資銀行員が乗ってる。ラテン系の大工とか原理主義の掃除機セールスマンとか、無神論の産科医とか。モルモン教徒のジェイ・Zファンとか。それが僕たちだ。それぞれに強い信仰や信念をもって、それでも譲り合うんだ。どうぞお先に、って」

「もちろんたまには、思いやりのない我がままな馬鹿野郎が路側帯を走って直前で割り込んでくることもある。でもそういう奴は珍しいし、バカにされるし、そういう奴をコメンテーターとして雇ったりしないんだ!」

「なぜかというと僕たちは国民として、本能的に分かってるからだ。暗闇を通り抜けて明るい中に戻っていくためには、協力し合わなきゃならないって。そして本当のところ、暗闇が一切なくなるなんてことはないし、トンネルを抜けた先の光が必ずしも約束の地だとは限らない。トンネルを抜けたらそこはただのニュージャージーだった、ってこともある」

「それでも、ボクたちはやるんだ。一緒に」


良く考えられたスピーチだと思う。ここに集まった人も含めて、アメリカの知性が輝いていて、まだ捨てたもんじゃないじゃないと思わせるし、日本にこの余裕があったらなあと思ってしまう。その部分のビデオはこちら。

Rally to Restore Sanity and/or Fear
Jon Stewart - Moment of Sincerity
www.comedycentral.com
Rally to Restore Sainty and/or FearThe Daily ShowThe Colbert Report

加藤さんのレポートは周りの人にまで及んでいて、これが面白い。

「僕は不法移民に見えるだけですよ」というプラカードを手にしたアラブ系の青年がいたり、「私たちは過激じゃないイスラム教徒です」とプラカードを掲げる黒人女性がいたり。「税金は嫌いだけど、消防署は必要なんでね」というプラカードや、「税金は社会参加の会費」というプラカードをもつ人がいたり。「あなたはヒトラーだと思うんだけど、自分は70年代にかなり薬をやってたからね」とか、「信じる人数が多ければ事実になるわけじゃない」とか、「そんなに怒鳴ってばかりいると、顔にものすごい筋肉がつくよ」とか、「でもまあ何とかそこそこやってますよ」というプラカードなどを手にして。
ははは。「僕は不法移民に見えるだけですよ」って切実すぎw。でもそれを笑ってしまうなんて、粋じゃないですか。「信じる人数が多ければ事実になるわけじゃない」はどっかの国に言ってやりたい。何かあったら使おう。

中間選挙で民主党は負けちゃったけども、他国ながら、こうした知性あふれる人々に期待してます。こちらも知性を磨かないとね。

デイリーショウへのオバマ出演についての加藤レポートはこちら。

「Yes We Can、でも一晩では無理」と認めたオバマ氏の正念場ニュースな英語
http://news.goo.ne.jp/article/newsengm/world/newsengm-20101029-01.html

あとで読もう…。
Jon Stewart Rally Shifts Blame to the News Media - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2010/11/01/business/media/01carr.html

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アメリカも日本化

下馬評通り、米国の中間選挙では、上院は辛うじて民主党が過半数を確保したが、下院は民主党が60議席以上失い、共和党が握ることになったわけだ。

朝日:米共和党が下院の過半数を奪還 上院は民主党が維持
http://www.asahi.com/international/update/1103/TKY201011030300.html

お茶会の力に引っ張られた感がある共和党。でもそれもここまでで、多分、これからは正当な共和党が力を示すんだろうけど。(いや、さすがにそうならないとヤバいだろ)

オバマ大統領、躍進の共和党に協調呼びかけ 米中間選挙: AFP
http://www.afpbb.com/article/politics/2772359/6405128

ああ、杉良太郎みたいな、しかも赤ら顔(日焼けサロンらしい)のベイナーさんですか。協力なんてしてくれなさそうだけど。特に下の記事を読むと…。

米共和党の下院奪還作戦 WSJ.com
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_143621

 この時の投票は、その後の2年間に何度となく繰り返されるパターンを設定した。下院共和党は一枚岩となり、民主党の提案に次々と反対したのだ。共和党のこうした動きは、ホワイトハウスを激高させた。さらに、民主党が貼り付けた「何でも反対する政党」とのレッテルにより傷を負うリスクもあった。
 しかし、民主党の政策は景気の急回復につながっていない、と有権者が懸念を表明するなか、共和党が謗りを受けることはなかった。
 民主党が被った打撃の多くは、共和党の戦略の直接の影響というよりむしろ、民主党の野心的な目標に対する失望の結果だ。
 一方、下院共和党は、こうした失望の波にうまく乗った。共和党は、自党の案は大統領の政策の代替になり得る、と至る所で宣伝し、さらに勢いを増し始めた茶会党の恩恵にも浴した。

難航必至の政権運営―オバマvsねじれ議会 WSJ.com
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_143617

 2日の投票は、2008年にオバマ当選を支えた浮動票が一気に反対票に回ったことを示すものとなった。再選を目指すオバマ大統領は、共和党との妥協を図るか、逆に、左旋回で、支持を失ったリベラル派の信頼を取り戻す必要がある。このところの大統領は、双方の機嫌を取ろうとしていた感があるが、今後は明確な方向性を示さなければならない。

USATodayも経済が回復しないのでオバマに失望し庶民が怒りを見せたと総括しているみたいだけど、100年に1度の経済危機が2年で回復するわけもない。でもオバマもちょっと慎重すぎた感があるとは思う。みんなの期待を、とりあえず誤魔化してでも維持する必要があった。正しいことをするためには。

本当は日本のように無駄な公共事業をバンバンすると景気回復したみたいになったと思うけどw(電力不足地域に電源とか送電線とか国の予算で作ればよかったと思うけどね)、そんなことをしたら、上記WSJの記事みたいに、共和党が正面切って反対してきただろうね。しかも、今後、予算を握るのは下院を支配する共和党。そして共和党といえば小さな政府主義。公共投資バンバンは無理だろうな。小さな政府にするには、本当は軍事費を減らすのが一番だと思うけど、共和党にはできないだろうし。

日本もこの20年、経済回復しそうなところで、(なぜか自民党内にだけど)財政均衡を求める動きがでてきちゃって、ミニバブルも起きないまま萎んじゃったりしていたわけで、そんなことを考えるとアメリカにも「失われた10年」がやってきそうな気がする。「ぼくたちはジンバブエになるの、日本になるの」って歌の答えは、日本ですよ〜。残念ながら。

……とはいえ、日本はどうもその先を行くらしいので、ぐうの音も出ないわけだけど。とりあえず、米国の新幹線計画も共和党の反対で危うそうだよ。トホホ。

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